「旧年少扶養控除の再算定」の取り扱いが焦点になっていた「保育料」改定問題。
「国分寺市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業利用者負担額検討委員会」(以下:「検討委員会」)の『答申第2号』(平成29年6月12日付)では、なぜ
実質的な「旧年少扶養控除の再算定」を継続する
「極力中立的な改定」になるよう答申に転身したのでしょうか。
●昨年の市議会で、「国のFAQが示されていない」ことを追及し、再度検討委員会の開催へ
昨年、検討委員会から提出された「答申第1号」(平成28年6月22日付)では、「旧年少扶養控除の再算定」は完全に廃止されていました。(※前回記事参照)
当時、私は「いくら何でも極端過ぎやしないか」と思い、検討委員会の議事録や議論されていた資料について改めて検証しました。
その結果、この間、国会などで議論された結果が反映され、逐次更新されている国の「自治体向けFAQ」(以下:「国のFAQ」)について、検討委員会に示されていないことを突き止めたのです。
そこで私は昨年8月4日の市議会・文教子ども委員会で「市は検討委員会の事務局として、委員の皆さんに、国のFAQを示したのか」と質問したところ、市は「当時の検討委員会の議事録と資料を確認したい」と答弁し、次回9月13日の市議会・文教子ども委員会で「国のFAQについて、検討委員会に示してなかった」ことを認めたのです。
そして市は「改めてこの中身を検討委員会に説明したうえで答申を頂く」ことを表明し、極めて異例なことですが、検討委員会を再度開催することになったのです。
※過去の関連する「ここ幸!」記事は↓コチラ
●国の「自治体向けFAQ」を詳細に分析し、二人分の「旧年少扶養控除」を加味 極力中立的な改定を答申
それでは、その焦点になった「国のFAQ」には「旧年少扶養控除の再算定」についてどのような記述があるのでしょうか。
「国のFAQ」では「旧年少扶養控除の再算定は行わない」ことが示唆されているのですが、一方で「新制度の(保育料)階層の設定にあたり、どのような世帯を想定しているのでしょうか」との問いに対しては「夫・妻・子2人(廃止前の年少扶養控除の対象)という世帯を想定しています」と回答しています。(※下記資料参照)
つまり、「旧年少扶養控除の再算定は行わない」としながらも、実質的に「2人分の年少扶養控除」を加味した制度設計になっているのです。
※市の保育料改定では「2人分の旧年少扶養控除の加味」は行われませんでした。
また別の設問に対する回答では「利用者負担額の算定にあたっては、市町村の事務負担等に考慮し、年少扶養控除等の廃止前の旧税額を再計算する方法や簡便な再計算を行うのではなく、改正前後で極力中立的なものになるよう、階層に用いる市町村民税所得割額を設定しています」としています。
※下記資料は国の「子ども・子育て新制度自治体向けFAQ」より抜粋(赤線は幸野が加筆)※クリックすると拡大します
※「自治体向けFAQ」は下記「内閣府HP」より
Q&A集 - 子ども・子育て支援新制度:政策統括官(共生社会政策担当) - 内閣府
これらの中身について、検討した今期の検討委員会では、「旧年少扶養控除の再算定」は形式上廃止しましたが、「国のFAQ」の中身
を踏襲し「子ども2人分の旧年少扶養控除」を加味した形で、また
である「改正前後で極力中立的なものになるよう」な「保育料の基準額表」を答申したのです。(※下記資料参照)
これが多くの世帯における保育料の値上げを抑制させる「答申第2号」のポイントです。
※下記資料は検討委員会の「答申第2号・報告書」より抜粋(赤線は幸野が加筆)※クリックすると拡大します