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【前提条件が崩壊している国分寺市公共施設等総合管理計画=公共施設マネジメントを問う⑥】今後40年間で 1370億円は過大見積もり!総務省のソフトは機械的な試算!

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今号では、井澤市長が「公共施設等マネジメント」の意義を強調する際に、必ずと言っていいほど発言されている「公共施設とインフラの修繕・更新に40年間で1370億円かかる」という「前提条件」の問題について、記事にしたいと思います。

これは今回516日の一般質問では取り上げておりませんが、昨年3月の市議会・予算特別委員会で追及しております。

 

●市は公共施設とインフラの修繕・更新に40年間で1370億円かかると試算

「公共施設等総合管理計画」(以下:総合管理計画)の、P12P135.公共施設等の修繕・更新にかかるコスト試算」のページでは、2014年度〜2054年度までの40年間で、市が保有する「公共施設の修繕・更新コスト試算」及び「インフラ施設の修繕・更新コスト試算」を算出し、「公共施設・インフラを含めた公共施設等の修繕・更新コスト試算結果」として、40年間で1370億円、年平均34億円であり、過去5年間の公共施設等に関わる投資的経費実績平均14億円の約2.5倍となっています」としています。

このうち、道路や下水道などのインフラを除いた「公共施設の修繕・更新」だけに絞ると40年間で715億円、年平均17.9億円であり、過去5年間の公共施設に関わる投資的経費実績平均7.8億円の約2.3倍となっています」としています。(※下記資料参照)

そして井澤市長は「公共施設等マネジメント」を語る際、必ずと言っていいほど、この40年間で1370億円」という「衝撃的な数字」を披露し、結論として「財政が厳しい中で、すべての公共施設を維持・更新することは不可能」という世論をつくる方向へと導いています。

※下記資料は「国分寺市公共施設等総合管理計画」P12135.公共施設等の修繕・更新にかかるコスト試算」より(赤線は幸野が加筆)

 

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市が使用している「公共施設等更新費用試算ソフトよる試算」は「機械的に集計したもの」

ところが、この公共施設の修繕・更新に今後40年間で715億円、年平均17.9億円」について、どれだけ精査されたものなのか、昨年3月(2016314日)の市議会・予算特別委員会にて追及しておりますので、その議事録を振り返りたいと思います。

幸野それで、今回出していただいた資料は、例の1,370億円かるといううちの715億円、公共施設の部分の積算についてどうなっているのかということで出していただきました。A3の資料(※下記資料参照)を見ると一番上が『建てかえ』という項目になっていて、真ん中が『大規模改修』となっていて、それが1面、2面という形になっていて、3面のところが『築31年以上50年未満の公共施設の大規模改修』という3つの項目で積み上げられた金額がこの715億円になっているということなんです。この資料を見て非常に疑問に思うことが多々あるんですが、例えば大規模改修というのがA3の資料の1枚目のところにありますけれども、今年度、平成27年度に『市民スポーツセンター』に4億1,1796,000円と、来年度にも4億1,1796,000円というのがかかるとなっているんです。下から4段目のところには『清掃センター工場棟』というのがあって、これに5億6,000万円かかると、来年度もこれに5億6,000万円かかると。これっていうのはソフトによる試算ということなんですが、国分寺市としてこういう改修が今必要だという認識に立っているということなんでしょうか。しかもこれだけの金額がかかると考えているのでしょうか

政策経営課長こちらの資料につきましては、表題に書いてあるとおり公共施設等更新費用試算ソフトよる試算ということです。木村委員から資料75号でお求めいただいたこれが入力項目というところでございます。この入力項目を入力した結果としてこういった数字が出てきます。基本的に2カ年で大規模改修をするといった形でデータが出ているということでございます。例えば平成27年の『スポーツセンター』でこれだけかかるというようなことにつきましては、機械的30年経過したものについては『大規模改修』を行う、60年のものについては『建てかえ』を行うといった機械的な経過年数を見てデータとして入れている、それを『集計したもの』ということでございます」

幸野「今、『機械的に大規模改修が必要だというものについて入れた』と(述べられましたが)、しかし国分寺市の考え方は述べられてなかったんですが、国分寺市としては(今、改修が必要だと)どうお考えなんでしょうか」

政策経営課長「このような形で今後の更新費用であったり建てかえ費用が出てきているわけでございますけれども、これをいかに対応していくのか、このままこの試算どおりに支出していくのかということではございません。これにつきましては今回公共施設の総合管理計画をつくった中で、それをいかに縮減してくのか、抑えていくのかということを考えているわけです。その中の手法では幾つかありますけれども、例えば長寿命化する中でこの使える期間を延ばし、その費用を抑えていくといった手法もこの公共施設の総合管理計画の中では検討しておりますので、こういった材料を使いまして今後の公共施設の効率・効果的なあり方を考えるということは今の市の考え方ということでございます」

幸野「質問に答えていただいていないんですが、今最後に『材料に使う』と言ったんだけど、それとして使えるものなのかどうかということを確認したいがゆえに今お伺いしているんですよ。現実問題、『市民スポーツセンター』に8億円なるものをかけて、今年度と来年度の予算にはないですね。じゃあ、今後どのくらいをめどにということも、これは一つ一つ聞かないけど、市としてもきちんと考えなければならないことがあると思うんです。機械的にこの金額だって言われても、現実味があるのかと思ってしまうんです。『清掃センター』なんかで言えば、これはもう既に日野市と小金井市と一緒にやっていくと、そちらでももう予算計上がされている、一部事務組合のされている関係がありますから、これもこの金額に入っているというのがどうなのかと率直に思うんですが、その件については担当の委員会で後でお伺いしてもらいたいと思うんです」

・・・と、このように、市が使用している「公共施設等更新費用試算ソフトよる試算」は、機械的30年経過したものについては『大規模改修』を行う60年のものについては『建てかえ』を行うといった機械的な経過年数を見てデータとして入れている、それを『集計したもの』」であって「このままこの試算どおりに支出していくのかということではございません」というものだということが明らかになったのです。

※下記資料は2016年3月市議会・予算特別委員会資料「公共施設等更新費用試算ソフトによる試算内訳」より抜粋

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●過去に行ってきた「耐震化工事」や「大規模改修」の実績も全く反映されていない

幸野「もう一つ、過去の(市が行ってきた)大規模改修についてお伺いしたい。先ほどの答弁の中で『機械的に大規模改修が必要なんだ』とおっしゃっていました。『過去の大規模改修』は資料(※下記資料参照)で出していただいていますが、かなりそれぞれの施設でやられているんですけど、この(過去に)大規模改修を行った施設というのは、今回の試算ソフトによる試算内訳にどのように反映しているのか。すなわち、大規模改修を行うというのはコンクリートの劣化を防ぐとか躯体を守るために、躯体の損傷をおくらせるために大規模改修を行って長寿命化、延命化という施策をとってるわけですね。この(過去の)大規模改修を行った内容というのはこの試算ソフトにどのように反映されているのか、教えていただきたいと思います」

政策経営課長「『過去の大規模改修』の資料をお示しさせていただきましたけれども、試算ソフトの中では大規模改修については、大規模改修によってもいろいろ種類がありますので、躯体のほうまで補修するようなものもあるし、そういったものでないものもありますので、総務省のソフトの中では過去の大規模改修については見込んでいないという形になっています。これは過去としてありますけども、この試算の中では大規模改修については見込んでいないということでございます」

幸野「大規模改修をやる理由って、もう完全に劣化した状態で抜本的な建てかえのようなことにならないように、事前にやることによって金額を抑えるというやり方ですね。マンションなんかもそうだと思うんですけれども、劣化自体をおくらせるということでやってるわけです。それぞれ大規模改修の中身が違うことは、私もこの内容も出していただいたのでわかるんですが、全く反映させないというのは果たしていかがなものなのかと思うんです。だから多分この試算ソフトでいえば、大規模改修を何もやってない状態で30年以上の建物だとか何だとかってなったら、『建てかえ』だとか本当にでかい規模での事業費が膨らんだ『大規模改修』となっちゃっていないかと。そういう視点から見てみると、3)の大規模改修の2ページの下から10段目ぐらいに第三中学校の校舎というのを平成21年に1億3,900万円かけてやられています。南校舎についても、平成7年ですけれども2億3,600万円かけられていると。それから下から4段目までが第五小学校の校舎や屋内運動や特別教室の大規模改修が3年にわたってやられて、平成26年には屋内運動場がやられていると。にもかかわらず、試算ソフトによる試算内訳のA3の2枚目の一番上の『建てかえ』のところなんですが、第三中学校と、大規模の1ページ目の下から7段目ぐらいに第五小学校の校舎が2つ行われている、屋内運動場もという形でやられているんですが、その2つとも『建てかえ』になってるんですよ。建てかえ金額を見ると、第三中学校は3カ年に分けて16億円を超えるお金で建てかえると、第五小学校も3カ年で15億円、これも現実と違う、大規模改修をやっているのにもかかわらず、何で『建てかえ』になるのかというのは、市では把握されているんでしょうか」

政策経営課長こちらは先ほど申し上げたとおり、大規模改修についてはこの試算ソフトの中では見込んでおりませんので、当然これが反映されてない形でA3版の資料ができているということでございます。大規模改修の状況については、今年度は総合管理計画をつくりましたけども、この後個別施設計画というのをつくっていくわけですから、そういった中ではこういった個々の施設の修繕の状況といったものも踏まえて個別の施設は考えていくということになろうかと思います」

幸野「反映してないからこうなっちゃうということですね。現実、果たして、40年間で715億円かかると言われてますけど、実際そんなにかからないんじゃないのかなと思わざるを得ないんです。しかもこの715億円というのは事業費ベースですね。一般財源ベースでいくと、財政フレームのときもちょっと議論しましたけどその1割、すなわちたとえ715億円かかったとしても715,000万円で、その後の負担というのは公債費という形になって、20年、30年、40年という形で返済されていくということを考えると、この40年間で715億円かかるというのは、少し過大に見積もったとは考えられないでしょうか」

政策経営課長こちらは総務省のソフトで、今後40年間で最大かかる費用と考えていただいてもいいかと思います。確かにこのソフトから出されるものについては、事業費の総額ということですので4年間で715億円ということになります。一般財源で考えればそういった数字にはならないということはもちろんなんですけれども、全体のかかる費用としてこれはつかむ必要があるということもありますので、過大というか、試算の中ではこういう形になったというようなものをお示ししたということでございます」

・・・と、このように、市が使用している「公共施設等更新費用試算ソフトよる試算」は、「この試算の中では過去の大規模改修については見込んでいないということ」ということも明らかになりました。

国分寺市は、他市に先駆けてすべての公共施設で「耐震化工事」を行ってきましたし、学校の施設などにおける「大規模改修」も適宜進めてきました。しかし、そうした実績が全く反映されていない試算金額『715億円』が、まことしやかに使用されていることに大変な違和感を覚えるのは私だけでしょうか。

この点においても「総合管理計画」「前提条件」は、「やっぱり崩壊している」と指摘せざるをえないのです。

※下記資料は20163市議会・予算特別委員会資料「過去の大規模改修について」より

 

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●公共施設は地域福祉の要!コスト削減より、施設の役割を充実させることこそ!

幸野最後に一言だけ、意見だけ述べたいと思うんですが、この公共施設等総合管理計画の基本的な考え方というのは、市民サービスを維持しながら維持管理コストを減らしていくという発想なんですが、施設のことだけで考えると確かにそういう発想になってしまうのかもしれないんですが、むしろ地域福祉とかっていう視点というのは、市民の方々にたくさんそういう場に出てきていただいて、そのことによって介護にならない人たちをふやすとか、介護にならないようにするとか、あるいはみんなで支え合うようなコミュニティをつくるとか、そういうことが地域福祉のかなめだと思うんです。私たちはこの間言ってますけど、例えば入浴事業なんかが廃止されたことによって、要介護認定者なんかがふえているんじゃないのかと指摘してきてますが、事実として要介護認定者がふえています。確かにその因果関係というのははっきりはわからない、けれども、その年ぐらいから急増しているというのは間違いない事実だと思うんですが、そのことによって結局介護保険の事業費がふえて保険料にもはね返る、あるいは市の負担にもはね返るということで、トータルコストでいけば逆に上がっちゃうみたいなことだってあり得るし、むしろ地域福祉とかっていうのはそういうことに軸足を置いてもっともっと市民の方々にまちに出てきてもらう、コミュニティを活性化してもらう、そのために市としてできることの1つとして公共施設を充実させるという発想の転換というか、もう少しマクロで見ていけば、私はこの施設の問題だけに限ってコスト削減というのが強く出過ぎているんじゃないのかと感想として持ってますので、あとは担当委員会で御議論いただけたらと思いますが、私の意見として述べて終わりたいと思います」

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