●「財政状況は厳しい」との分析は、支離滅裂に
「公共施設等総合管理計画」(以下:総合管理計画)の、P7「財政状況」のページでは「高齢化の急激な進展等により、扶助費は、平成15年度と平成25年度を比較すると10年間で2倍以上増加しており、今後さらなる増加が懸念されます」と分析し、「ポイント」として「歳出の増加が行政サービスの維持に向けた財源確保の努力を打ち消す勢いとなっており、更なる行政改革が必要です」としています。(※下記資料参照)
そして「総合管理計画」では、この前提条件に基づくその後の結論として「財政は厳しいのだから、すべての公共施設を維持・更新することは不可能」という方向に導いています。
※下記資料は「国分寺市公共施設等総合管理計画」P7「財政状況」より
しかし、初めに指摘しておきたいのですが、ページの上段のところで「扶助費の増加」が「高齢化の急激な進展」によって起きているかのように書いてありますが、これは事実と違います。
「扶助費の増加」の大きな要因は、「認可保育園の増加分(保育所入所児委託料)」や「児童手当(子ども手当)の増額」(平成22年度)などによるものです。しかもこれらの増加分は、「自然増加」によるものではなく、「政策的増加」によるものです。
したがって、今後、子育て支援はさらに充実させなければならないわけですから、計画が述べるように「さらなる増加を懸念」するものではありません。
また「高齢化の急激な進展」による医療費や介護費の増加分は、「扶助費」ではなく「繰出金」(「国民健康保険特別会計」や「介護保険特別会計」等への)に該当しますが、「繰出金」全体でみると、そこまで大きく増加していないことがわかります。
しかし、国分寺市が「介護予防事業」や「高齢者生きがい事業」「高齢者入浴事業」などを削減した結果、その分の「扶助費」が減り、その一方で、介護を受ける方が増えたための「繰出金」の増加や、市民の「介護保険料」の増加などに跳ね返っていることも押さえておく必要があると思います。
●井澤市長陣営が現在配布している「ビラ」には、全く逆のことが書かれている
そして、この「財政状況」の分析については、究極におかしな点があります。
「ポイント」として強調されている「歳出の増加が行政サービスの維持に向けた財源確保の努力を打ち消す勢いとなっており、更なる行政改革が必要です」という文章については、明らかに「支出」の増加分が「収入」の増加分を上回っている、あるいは「打ち消す」と言っているので「相殺されている」と言っているように読めます。したがって今後も「財政は厳しい」と結論づける材料になっています。
しかし、これは事実でしょうか。先日我が家にも国分寺市長選挙に向けた「井澤市長のビラ」がポストに投函されていましたが、このチラシと見比べると、「国分寺市の財政状況」について、何が何だか分からなくなってしまうことが書いてあります。
※下記資料は「未来を創る国分寺市民の会」発行の「井澤市長のビラ」より抜粋
このビラを読むと「井澤市長は4年間にこんなたくさんのことを実現しました」と書いてあるうえで、12本の柱のうち、1本目の柱で「① 財政の健全化が確実に進捗している」として、様々なことが書いてあります。
●井澤市長自身「財政は健全化している」と誇っている・・「二枚舌」
これらを見て皆さんも感じると思いますが、井澤市長自身、明らかに「国分寺市の財政状況は健全化している」ということを強調しているのです。しかも自分の実績として。
しかし、そうすると、この「総合管理計画」が「財政状況」の「ポイント」として強調している「歳出の増加が行政サービスの維持に向けた財源確保の努力を打ち消す勢いとなっており、更なる行政改革が必要です」という状況というのは、全く事実と異なってしまっていることになってしまうのではないのでしょうか。
井澤市長は、「自らの実績」として主張していることと、「国分寺市の計画」に書いてあることについて、「究極のかい離」があることを理解しているのでしょうか。
もし、理解したうえで、書いているのだとすれば、前号で指摘した「人口動態認識」同様、明らかな「ダブルスタンダード」の姿勢であり、「二枚舌」であると言わなければなりません。
市民が煙に巻かれないことを祈ります。
※過去の関連する「ここ幸!」記事は↓コチラ(※必読)
予算特別委員会 1日目、扶助費(社会保障関連経費)の増加問題を議論。
— 幸野おさむ (@osamukono0901) 2017年3月6日
井澤市長が「扶助費が伸びているから、財政が厳しい」と言っているので、私が代表質問で「増加している内訳は?」と質したところ、市長は「現在細かい数字を持っていない。予算特別委員会で」と言っていたのに、また答弁拒否!