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【井澤市長の公約「財政健全化」と「大型開発」との関係をどう見るか①】「財政状況」は市民の負担と我慢によって改善!一方で大型開発へとさらに税金が。財政健全化は大型開発のため?

今号では、現職・井澤市長の政策の中で大きな柱になっている「財政健全化」「大型開発」の関係について記事にしたいと思います。

 

●財政の実績は、一概には語れないのに、あたかも自らの手柄のように

それではまず、国分寺市「財政状況」について具体的な分析をしておきたいと思います。

井澤陣営が発行しているビラ(※下記資料参照)を読むと「井澤市長は4年間にこんなたくさんのことを実現しました」と書いてあるうえで、12本の柱のうち、1本目の柱で

「①財政の健全化が確実に進捗している」として「 ~前略~ ・経常収支比率が平成24年度の97.3%から90.9%へと改善・市債の残高が平成25年度の410億円から297億円(29年度当初)へ113億円減少・基金残高は平成25年度の24億円から114億円(29年度当初)へ90億円増加(うち財政調整基金18億円から59億円、庁舎建設基金0円から40億円に増加)・税外収入の確保(ふるさと納税クラウドファンディングなど)」と書いてあります。

これだけ読むと、財政が改善したことは、あたかも井澤市長の実績かのように描かれています

しかし、財政問題に限っては、様々な要素が絡み合っているため、そう簡単に、一概に「誰々~の実績」などと言えるものではありません。

※下記資料は「未来を創る国分寺市民の会」発行の「井澤市長のビラ」より抜粋

 

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●財政の「経常収支比率」は確かに改善しているが・・

このビラに書いてある「・経常収支比率が平成24年度の97.3%から90.9%へと改善」という点(※下記資料参照)ですが、私も516日の市議会・一般質問で取り上げているので、解説をしたいと思います。

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blog.kokosati.com

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この「経常収支比率」というものは財政運営の弾力性を示す数値のことです。人件費・扶助費・公債費などの経常的な経費に、地方税地方交付税などの経常的な収入が、どの程度充当されたかを見るものです国分寺市HPより抜粋)と解説されています。

つまり人件費や扶助費(社会保障費用)、公債費(借金返済費用)などの「経常的な経費(支出)」に対する、市民税や地方消費税交付金などの「経常的な収入」の割合を示したものです。しかし、割合だけだとよくわからないので、この割合を金額に変換するとどうなるのでしょうか。

「平成24年度の97.3%」というのは、「経常的経費213.9億円」に充てられる「経常的収入219.9億円」なので金額ベースで「約6億円」です。平成27年度の90.9%」というのは「経常的経費220.5億円」に充てられる「経常的収入242.5億円」なので金額ベースで「約22億円」です。

すなわち、平成27年度でいえば「約22億円」の経常的な収入・財源が、経常的な経費以外に回せることを意味します。

※下記資料は市議会資料「経常収支比率の推移」

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●「経常収支比率」改善の理由は、私たちが払った「消費税」と、北口再開発や下水道整備費の「借金減少」

それではなぜ、これだけ「経常収支比率」が改善したのでしょうか。これは、井澤市長の実績ではありません。

一つは2014年の4月に引き上げられた消費税の10%への増税による地方消費税交付金の増加」(※下記資料参照)です。そしてもう一つは「公債費(借金返済費用)の減少」(※下記資料参照)で、どちらも市長の政策的な余地が入り込むものではありません

しいて言うなら「公債費(借金返済費用)の減少」ですが、これについては、毎年借金の返済は行わなければならないため、誰が市長を担っていたとしても、一方的に減少していく性質のものです。

すなわち新たな「大型開発」さえ強行しなければ、自動的に減少していくのです

国分寺市は歴代市長のもと、国分寺駅北口再開発」に莫大な税金をつぎ込む一方で、新たな「大型開発」を幾度も狙ってきました。これに対して、私たちは「福祉」「教育」「子育て」予算など、市民生活の財源を守るために、必死に抵抗して食い止めてきました

・・・ということで言えば、実質的には私たちが「大型開発批判」を展開してきたことが、市のさらなる暴走を食い止め、「経常収支比率」を改善させてきた、とも言えるかもしれません

※下記資料は幸野作成「地方消費税交付金の推移と財政の関係」

 

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※下記資料は市議会資料「市債の償還額の推移」

 

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しかし、もう一つここには触れられていない事実があります。

経常収支比率「平成24年度の97.3%」という数字の前年度・平成23年度は「99.3%」、22年度は「101.5%」、21年度は「98.1%」、20年度は「99.0%」と(※上記資料参照)・・・平成24年度以前は常に100%前後」で推移しており、新たな分野に投資できる財源は限られてしまっていたのです。

そして、その最大の原因となっていたのが国分寺駅北口再開発」や「下水道整備費」等の「借金返済費用」だったのです。

そのせいで、「福祉」「教育」「子育て」予算など、市民生活の予算は置いてけぼり、むしろ削減の嵐が吹き荒れました。

その結果として、多摩26市の中で「福祉の予算は最下位クラス」「土木費の予算はトップクラス」という暗い時代が長く続くことになったのです。

※下記資料は、幸野作成の「市民一人当たりの経費・多摩26市比較の推移」より

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データ元:東京都総務部行政局市町村課資料「年度別資料集・目的別歳出内訳」

 

●「財政健全化」の目的は「大型開発のため」としか思えない

しかし、今回の井澤市長の選挙公報」(※下記資料参照)を見ても、国分寺駅北口再開発」の強行によって、財政を悪化させてきた反省はありません。

そして今回の公約では、始めに「財政健全化」を据えたうえで、西国分寺駅北口周辺整備(駅前再開発が濃厚)」「市役所新庁舎建設の早期着手」「リサイクルセンター建設」などといった更なる「大型開発」を並べているのです。

まさに「財政健全化」の目的「大型開発のため」であることを自ら物語っているのではないでしょうか。

※下記資料は2017年市長選挙「井澤市長の選挙公報

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