今回の市長選挙において現職「井澤市長の公約」では、従来からの「財政健全化」や「国分寺駅北口再開発ビルの完成と広場・駐輪場整備」に加え「西国分寺駅北口周辺整備(駅前再開発が濃厚)」「市役所新庁舎建設の早期着手」「リサイクルセンター建設」など・・といった更なる「大型開発」の政策が並んでいます。
この「財政健全化」と「大型開発」との関係について、前号【①】に続いて、さらに突っ込んで、国分寺市政や市民に対してどのような影響をもたらしているのか、分析したいと思います。
●「借金の減少」や「貯金の増加」も、一般的にはいいことなのだが・・・
前号【①】の資料(※過去記事参照)で掲載した「井澤市長のビラ」の中では「・市債の残高が平成25年度の410億円から297億円(29年度当初)へ113億円減少」や「・基金残高は平成25年度の24億円から114億円(29年度当初)へ90億円増加(うち財政調整基金は18億円から59億円、庁舎建設基金は0円から40億円に増加)」と書いてあり、これらも井澤市長による「財政健全化」の実績として描かれています。
※過去の関連する「ここ幸!」記事は↓コチラ
一般的に言うと「市債残高の減少」(=借金残高)や「基金残高の増加」(=貯金残高)については、評価できることだと思います。ただし、その中身を分析すると、これまた一概には評価できない問題が浮上してきます。
「市債残高の減少」(=借金残高)については、前号【①】の記事「公債費の減少」のところで一部触れましたが、それ以外の要素として大きいのが、今年度当初予算に計上した(総事業費「900億円」、市が負担する分「470億円」あまりつぎ込む)「国分寺駅北口再開発」の「再開発ビル敷地売却益150億円」を見込んでいることです。
今年度末の「再開発ビル」完成に伴い、すでに「前払い金」としていただいている「15億円」を除いた「ビル敷地売却益135億円」が住友不動産から支払われるため、この財源のうち「60億円」が「市債の償還」に、「75億円」が「基金への積み立て」に回される予定になっているためです。(※下記資料参照)
※下記資料は市議会資料「市債の償還額の推移」より
●「現市民」の負担が大きく、「後世代市民」は「恩恵」が大きい矛盾
しかし、ここで、気になることが発生します。
「国分寺駅北口再開発」は、1990年に「都市計画決定」が強行されてから27年間にわたって、多額の市税がつぎ込まれてきました。その税金は、当然「現市民」が納めてきた税金です。当時から土地の購入費用などについては「借金」も多額に行ってきましたが、その「返済」もすでに多額に行っています。
その上での、今回の「一括償還」です。
しかし・・・その税金を収めてきた「現市民」は、今現在に至っても、この国分寺駅北口再開発からは、何の恩恵も受けていないのではないでしょうか。いやむしろ危険な状況が続いてきたことによって「リスク」だけが続いていた、というのが実情だと思います。
すなわち、今年度末の「再開発ビル竣工」時点で、市の借金は元利合わせて「80億円」残りますが、「470億円」−「150億円」=「320億円」のうち、「320億円」−「80億円」=「240億円」は、すでに「現市民」が納めた税金によって、支払われたものなのです。(※下記資料参照)
「現市民」としては「240億円」も「負担」させられた後に、「再開発ビル」が出来上がることになるのです。しかも「交通広場の完成」については、さらに「2年後」の予定です。
一方で「後世代市民」はというと、市税の「負担」は「80億円」ということで、相対的にかなり少ない上に、「再開発」の「恩恵」だけは多大に享受し続けることになるのです。
※下記資料は市議会資料「平成29年度末目的別の未償還額」より
これって不公平ではないでしょうか・・・?
これから「再開発ビル」に「入居」される方も含めて、今後の「負担割合」を計算すると、80億円/320億円なので、割合で言うと「25%」、これを12万人市民で割り返すわけですから、計算上はその1/12万しか負担しないことになるのです。
入居される方は、おそらく「高額所得者」層が大半だと思われますが、その方々についても、「負担」はとても「小さく」、その上税金が多額に投入された「再開発ビルの恩恵」だけは「享受」し続ける状況になるのです。
確かに、これだけ大規模な事業で長期的に行っていることを考えれば、多少の「負担割合」が変動することは、やむを得ない部分も多々あると思います。
しかし、私たち「現市民」側の立場から見ると、結果論にはなりますが、あまりにも「バランス」を欠いた「負担割合」になっていると言っていいでしょう。
ズバリ、1990年の「都市計画決定」の強行から、見直すたびに「事業費」が膨らんできた「国分寺駅北口再開発」の「負の遺産」はあまりに大きいと言えると思います。
平成27年7月から始まった再開発ビルの建築工事も,来月7月上棟予定です。
— 駅周辺整備課 (@koku_eki) 2017年6月16日
今しばらくご不便おかけしますが,ご理解ご協力をお願いします。
(右:西街区ビル34階 左:東街区ビル32階 平成29年6月6日現在) pic.twitter.com/ULWVf4T4ws
●新庁舎建設も似たような構図で、「現市民」の負担が大きく
「新庁舎建設」についても(いまだHPにも公開されていない)「基礎調査報告書」において「65億円〜70億円」かかると試算されていますが、井澤市長は、すでに「40億円」の「庁舎建設基金」を積み立てています。原資は、前述した「国分寺駅北口再開発」の「再開発ビル敷地売却益」です。
そうなると、この「新庁舎建設」についても「現市民」が納めた税金によって「建設」のための「積立金」が「60%弱」も築かれたことになります。
すなわち「新庁舎建設」についても、結果的に「負担」は「現市民」が負いつつ、「恩恵」を受けることになるのは「後世代市民」・・ということになるのではないでしょうか。
※下記資料は市議会資料「新庁舎建設に係る整備手法等の検討に関する基礎調査報告書」表紙より
●「現市民」は負担しっぱなし!もっと怒っていいでしょ!
・・と、多少強引な主張も展開してきた末に・・・私がいったい何を言いたいのかといいますと・・・、
「市債残高の減少」(=借金残高)や「基金残高の増加」(=貯金残高)について、「井澤市長のビラ」では「財政健全化」の要因として、あたかも全面的に評価できるような書きぶりになっていますが、「ただ単純に「借金減少」や「貯金増加」が「是」で、その反対は「非」だということではない」、ということを言いたいのです。
現職・井澤市長は、少なくとも「国分寺駅北口再開発」と「新庁舎建設」では「現市民」に「多大な負担」を強く一方で、「後世代市民」には「恩恵」ばかりが享受されるような政策を進めているのです。
「現市民」はもっともっと「怒り」の声をあげるべきだと思います。
「大型開発」の「負担」を多大に担わされた上に、その分、今、「享受」されるべき「福祉」・「教育」・「子育て」の予算が「削減・抑制」されているのですから・・・。
これまでの国分寺市政では「後世代に負担を押し付けてはならない」という言葉が謳歌してきました。
これは一般的な話としては「理解」できます。しかし、現実問題として、今現在の「現市民」の負担は大変なものになっていることも、重ねて強調しておきたいと思います。
ただし「井澤市長の公約」を見る限り、「後世代市民」が待ち受ける現実も「負担の連続」かもしれませんがね・・・。
※過去の関連する「ここ幸!」記事は↓コチラ
新庁舎建設は12万人市民の意向に基づいて!: ここに幸あれ!国分寺市
財政状況は好転しているのに「厳しい」?: (2) ここに幸あれ!国分寺市
現在販売中の国分寺駅北口再開発ビル・ツインタワーは「タワーマンション税制の対象にはならない」との答弁が。
— 幸野おさむ (@osamukono0901) March 7, 2017
高層階を購入できるほどの富裕層世帯からは少しでも多くの固定資産税を納めていただきたかったでですが、残念です。
一方で、住友不動産が売却する条件としては有利に働くと思います。🐣